自称・ミュージシャンの本棚

シンガーソングライターむーすくりーむの読書メモ集。

阿久悠神話解体―歌謡曲の日本語/見崎 鉄 (著)

詞は聞いた人の体内で詩に変わってくれれば良い。
 
流れが思わぬ方向に転がってそれに乗り続ける。わらしべ長者
 
最近の歌詞には背景描写がない。
 
ワンとしての自己を他者の代わりに承認してくれたのが世界にひとつだけの花。
 
作詞の際は曲を聞き込み体のなかに取り入れる。そうするとあるメロディがある言葉を語り始める。ある言葉を手がかりに全体のイメージを構築する。
 
道を歩く=自力、川の流れ=他力 
 
作詞というのは言葉以外のものからの刺激を言葉にするもの。
 
最初の二行で風景の入ったフルショット、次にカメラは人物に寄ってバストショット、そしてサビに入ったところでアップにして主人公がセリフを喋り始める、そして最後にカメラは再び引いてロングショット。映画的作詞、津軽海峡冬景色など。
駅に降り立つ女の遠景→海鳴りを聞く無口な人々→泣く私のクローズアップ→カメラは一気に引いて冬景色の津軽海峡
 
~してはいけないよなど呼び掛けはリスナーを歌詞世界へ引き込む常套句。
 
シンドバッド=プレイボーイの暗喩
 
出来合いのことばを切り貼りして自分の心の叫びだと勘違い。自由に服を選べばいいのに、どこの学校の制服が可愛いとか言ってそれを少し着崩して自分を表現したつもりになっている。近親婚を繰り返し住民全員の顔が似てきてしまった村のよう。