自称・ミュージシャンの本棚

シンガーソングライターむーすくりーむの読書メモ集。

セックスと超高齢社会/坂爪真吾

白い雪が屋根を覆ったとしても、家の中の暖炉が燃えないわけではない。

男性の約8割、女性の約3割が70代になってもセックスへの願望や関心を多かれ少なかれ持続させている。

 
男は死ぬまで狩人たれ!男の自信を取り戻す、漢、60にして勃つべし!夢は腹上死!
 
家庭生活が充実していない人→他人を攻撃したり、トラブルを起こしたりすることでしか自己の存在意義を確認できない。
 
夫婦関係の不和や社会的な孤独の中で、なおも下半身にくすぶり続ける性的欲求の残滓と向き合って生きていかざるを得ないというのが、超高齢社会における大多数の高齢者にとっての嘘偽りない現実だと言える。
 
昭和40年代はトルコ風呂を始めとして様々な形態の風俗が生まれた時代であった。のぞき部屋、ラッキーホールなど。
 
富裕層の高齢男性がお金だけでは埋められない寂しさを風俗で埋めようとしている。
こころあわせ 60歳未満お断り。
 
いくつになっても若い頃のように生身の女性とのセックスに執着する彼らの姿は年齢に縛られない自由さの証明ではなく、自らの老いを受け入れられない不自由さの証明のように映ってしまう。(日々エステに通い身だしなみを整え、高気圧酸素カプセルに入って英気を充填、毎日の食事バランスにも気を付け、スポーツジムで体を鍛えることも怠らない。全ては孫娘より若い女性とデートを楽しむため。85歳男性)
 
好みはこれから徐々に熟れていく18〜22歳
食生活の改善や毎日の運動によって性機能を向上させる。
 
彼氏を作るのはOK、旦那がいてもいい、ただ自分以外の男をパパにしないで。
 
平日の午前九時台は自宅にも地域にも居場所がない高齢男性にとっては魔の時間帯、地元の図書館もショッピングセンターも開いていない。それに対して個室ビデオ店は24時間営業。外界から隔絶された清潔な個室の中で平日の朝9時から誰とも会話せずに、ひんやりとしたフラットシートな身体を横たえながらAVを鑑賞し、自慰行為を黙々と続ける高齢者たち。現代のユートピア
 
中高年のAVユーザーは裸体そのものではなく、その裸体が置かれている文脈=シチュエーションや物語を含めて興奮している。
 
妻の認知症によって性生活が途切れてしまった後、偶然手に取ったAVの中に自らの観音様と呼べるような女性の存在を見出した84歳男性。感動して涙が止まらなかった。肉体的にも精神的にも救われた彼は毎週同じレンタルビデオ店に通って、同じ作品を借り続けている。その姿はさながら百度参りを続ける熱心な信者のようだ。
 
AVは孤独を癒やす。すべての人にアクセスが保証されている、全ての孤独な人達のもの。
人間の救いは愚に還る喜びによってこそ得られる?小賢しいエゴは捨て、愚者にならないと極楽浄土にはたどり着けない?
 
高齢女性にとってのストリップ劇場=AV男優のハグイベントや韓流アイドル? エネルギーの充填。
 
高齢期の性生活を充実させるには自分なりの仮のパートナーを見つけることが重要。非日常と日常の中間地帯に、緩やかな性的なものとの触れ合い、語り合えるような場所が社会に増えて行けば、そのようなパートナーも見つけやすくなるはず。
 
70代男性の31%,女性の7%が月一回以上自慰行為をしているという調査結果もある。
 
性は生殖の手段であるだけではなく、他者とのコミュニケーションの手段でもある。
 
60代後半、70代なかばになっても性に関する欲求や悩みは若い世代とあまり変わらない…?週3回も自慰行為する人も… これまでの自分の枠を超えた非日常の自由さを味わいたい。
 
思春期の男子高校生のようにメディアに下半身を煽られて右往左往したり
 
誰しもが安心して晩節を汚せる社会の実現。