自称・ミュージシャンの本棚

シンガーソングライターむーすくりーむの読書メモ集。

予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」/ ダン・アリエリー (著), 熊谷 淳子 (翻訳)

[相対性の真相]
多くの人は選択肢に迷うと真ん中を選ぶ。
 
おとりの選択肢を入れる。
 
身体的特徴が自分と似ていて自分より少し魅力がない人と一緒にいると自分を魅力的に見せることができる。
 
人は全てを相対的に判断しがち。外国で誰かに会って意気投合してもそれは相対性の魔法かもしれない。
 
[需要と供給の誤謬]
アンカリング、社会保障番号の実験。
 
最初のアンカーが後々まで影響を及ぼす。第一印象は重要。
 
自己ハーディング: 過去に自分がとった行動を基準にして物事の良し悪しを判断すること。
 
スタバはダンキンドーナツとは違った方向性の潜在的価値を打ち出したためダンキンドーナツの低価格がアンカーにならず、スタバの価格が新しいアンカーとしてすんなり受け入れられた。
 
詩の朗読に10ドル払うか?と聞かれた時点で自分がお金を払うべきというアンカーが打ち込まれる。
 
過去のどこかで恣意的にくだした決断が後々まで影響を与える。 脳が楽をしようとしている。(一貫性の原則)自分が繰り返しとる行動に疑問を持つ。
 
[無料の力]
失うことを恐れる気持ちから無料のものを実際よりもずっと価値あるものと思ってしまう。無料であれば何かを失う心配はない。島との関係。
 
無料の力で私達は不合理な行動をとってしまう。
 
最初に払うお金に対して一番苦痛を感じる。その後追加して払うごとに苦痛は減っていく。感応度の逓減。友人と食事をする際は支払いを持ち回り制にしておけば全体効用を最大化できる。
 
[社会規範のコスト]
人はお金のためよりも、お金の絡まない社会規範に従ったときの方が熱心に働く。
 
市場規範に照らし合わせると安すぎて引き受けないが社会規範に基づいて引き受けることもある。少額の報酬よりも無料の方が人は動いてくれる。
 
私達はお金のことを考えると市場規範を適用するようになり、利己的で独立独歩の傾向が強まり、1人になりたがるし個人プレーに走る。
 
デートでレストランに行ったら値段のことは口にしないこと。なぜなら二人の関係が社会規範から市場規範に移行してしまうから。
 
社会規範が市場規範と衝突すると社会規範が長い間どこかへ消えてしまう。人間関係では注意。
 
社会規範が従業員の忠誠心を高める。
プレゼントを渡す。企業と従業員の社会的な側面を強調。
 
理想のパートナーの条件に年収をあげると結婚したとしても市場規範が適用されてしまう。
 
[無料のクッキーの力]
やり取りに金銭が絡まないと私達はあまり利己を追求せず、他者の幸福をもっと気にし始める。値段が0の時人々は世界を共同体と考える。消費を抑える。無料のものを遠慮する。
 
何かが共有のもの、社会のものになったとたん、私達は社会規範に従うようになる。最後の一個を皆が遠慮するなど。
 
労力は無料ほど高い社会意識を生み出さないが、ある程度社会規範は維持される。市場規範と社会規範の中間。
 
現金ではなく労力を投資することで社会規範の領域にとどまり、他者の幸福を考慮するようになる可能性がある。
 
[性的興奮の影響]
性的興奮状態、激しい感情に襲われたときは爬虫類脳が全開になる。
 
[先延ばしの問題と自制心]
先延ばし癖を直すには…外から高圧的に強制される、自分で外界に宣言する形で決意表明する(一貫性の原則)
 
携帯チェック=スロットマシーン チェックするたび脳の快感回路が刺激される。
 
先延ばしを止めるには目先のプラスを見つけ出し無理やり動機付ける。
 
[自分の持ち物を過大評価]
 何かを手にしたとたん愛着を覚え、それを失うことを恐れる。→無料体験キャンペーンが有効な理由
 
何かに打ち込むほどそれに対する所有意識が強くなる。価値を過大評価する。
 
実際にイメージしたりするだけで所有意識を持ってしまう。まだ何も手にしていないのに。理想の生活の広告、おためしなどでマーケティングに利用される。返金保証をつけてもほとんど利用されないのはこの特性があるから。
 
所有意識は思想にも及ぶ。
生活の質も落とせなくなる。
 
[選択の自由という問題]
いくつかの扉を意図的に閉じる。
 やることを断捨離する。
 
[予測の効果]
雰囲気が高級なら味も高級に感じる。
 
前もって美味しそうだも信じたときは美味しく感じ、不味そうだと思ったときは不味く感じる。
 
事前の情報で人は感じかたを変える。
 
コカ・コーラペプシより優位にあるのは長年の人々のコーラブランドへの愛情が高次の脳機能を活発化したから。
 
普段接する言葉によっても無意識的に行動が左右されてしまう。
 
有名ミュージシャンがストリートで演奏していても人々は立ち止まらない。
 
人は本質ではなく雰囲気で物事を判断している。
 
[価格の力]
プラセボ 信頼や確信と条件付け(連想記憶)で発動。
 
価格の違いはプラセボ効果をもたらす。(自覚すると起きない)
 
高級感の演出、思い込みの力
 
[マーケティング担当者への不信感]
一度宣伝の香りを嗅ぎ付けると疑心が生じ知覚を歪めてしまう。
 
[私達の品性について]
チャンスがあれば大多数の正直な人がごまかしをする。多少の不正には監視システムが反応しない。
 
十戒の内容を考えてもらうとその後の不正が減る。応用して何らかの宣誓を予めさせれば不正は減るのではないか?誘惑に駆られているときに道徳心を呼び起こす。
 
[なぜ現金を扱うときの方が正直になるのか?]
お金以外のものに関しては人の道徳心は低下する。
 
 交換の媒体がお金でないとき私達の正当化能力は飛躍する。
 
電子貨幣だとどうなる?
 
人の顔が書いてあると道徳心を惹起する。
 
[ビールと無料のランチ]
人の前で注文する場合、独自性を顕示したいがために人とは違う種類のビールを注文する。ただし満足度は低くなる。
独自性を表現したい欲求が強い人ほどその傾向が見られる。文化圏によっては同調する傾向が見られる。
 
評判という効用を得るために個人の効用を犠牲にする。
 
[高い報酬は逆効果]
高過ぎる報酬は逆効果になることがある。
特に単純作業であれば能率が上がるが、システム2を使うような作業の場合この傾向が強い。
 
金銭的報酬だけでなく人から認められるという社会的報酬についても同じ。
 
ゴキブリも仲間の視線の前で課題をこなす場合、単純作業であればスピードが上がるが、複雑なものになるとあがってしまいスピードが落ちる。
 
 
[働くことの意味]
 仕事に意味を感じないとやる気がなくなる。
努力が認められない無駄になった場合もやる気がなくなる。
 
仕事を細分化すると全体像が分からずやる気がなくなる。歯車の一つになってしまう。
 
[イケア効果]
 イケア効果: 労力をかけてなにか作ると、その作品に愛着を感じ、過大評価するようになる。完成させることで発動。
 
恋の駆け引きでつれない素振りが重要なのはこのため。障害も同じ。
 
カスタマイゼーションの手間と、手軽さのばらんすをうまくとれば顧客が大きな価値を見いだす製品が産み出せる。
 
プロジェクトに時間や労力をかけることで、モチベーションを高めることも可能。
 
[自前主義のバイアス]
自分で生み出したアイディアを過大評価してしまう。
 
自分で考えたという思い込みでも生じる。
自分で思いついたかのように誘導する。
 
よその地域、組織で生まれた考えを中々取り入れようとしない。
 
多少の労力がかかるほうがよい。
単語を並べかえて文章を作らせるなど。
 
[報復が正当化されるとき]
人は本能的に報復に喜びを感じる。
 
消費者としてひどいサービスに接すると、負の連鎖が始まる。
 
謝罪は復讐心をなだめる。
 
[順応について]
痛みは慣れるもの。痛みが回復につながるという連合記憶が生まれた場合のみ。
どんな状況で苦痛を体験するか、苦痛にどんな意味付けを与えるか。 
 
快楽順応 満足感は続かない。快楽の踏み車。新しい物が手に入れば今よりもっと幸せになれる気がするが、そんな気分は長くて数ヶ月しか続かない。
 
気の進まないことは一気にやり遂げた方が良いし、逆に楽しいことは中断しながら少しずつやると良い。
 
[いけてる?いけてない?]
類は友を呼ぶ。
 
人間は自分が欲しくても手に入らないものを価値のないものと見なす。
ルックスの良い人のルックスの欠点を見つけようとする。
ルックス以外に価値を見出だす。
 
ルックスの良い人はルックスにこだわるがルックスが良くない人はルックス以外に価値を見出だすようになる。
 
男性は女性よりもルックスにこだわり、自分の魅力度を気にしない。
 
[市場が失敗するとき]
オンラインデートサイトのやり方は栄養表示を読んでクッキーの味を想像しようとするようなもの。検索可能な商品のように扱っている。
 
人を一つ一つの特性に分解したところでその人が本当はどんな人なのかはわからない。
 
オンラインデートサイトでも好きなことについて話す、何かを一緒に体験してみる(オンラインゲームなど)といった手段が有効。
 
人間の不合理な性質を考慮に入れない商品、サービス、市場は必ず失敗する。
 
[感情と共感について]
人間は誰か特定の人の事を思いやるよう促されれば行動を起こす。しかし大勢の人のことになると何もしない。大勢の苦しみよりも一人の苦しみに心を動かされる。
 
個人のストーリーを想起させると心を動かせる。アンネフランクの日記。
 
自分事と感じさせる。心理的な距離。
 
[短期的な感情が及ぼす長期的影響]
自分が何かを行うとき過去の自分の行動を参考にする。その行動が全く関係ない短期的な感情に基づいたものであっても。感情任せの決定には注意すべし。
 
誰かと深い関係を築く前に二人がしっかりとした社会的なきまりごとがないような環境に置かれたときどうなるかを調べる。
 
[私達の不合理性が教えてくれること]
流されるまま一番手っ取り早く習慣的なことをやり続ければ、これからも過ちを犯し続けてしまう。